十代の頃、道に張り出されていたポスター『GERONIMO』ウォルター・ヒル監督のインディアンの戦士ジェロニモを描いた歴史映画。そのポスターに写る、ネイティブアメリカンの鋭い眼光。私のインディアンジュエリーの始まりはここからでした。勉強も全くしなかった私が映画を観て、情報の少ない時代に本屋をひたすら回り、書籍を読みあさりネイティブアメリカンの歴史を色々調べ、小物を集めました。諸先輩方が身につける高価なインディアンジュエリーを横目で見ながら憧れていた。
遠回りはしましたが、『繊細で風が吹けば舞ってしまうかのようなシルバーフェザー』『魅力あるターコイズのブルー』もうこれしかない!と、某シルバーアクセサリーショップへ勤務し修行、丁稚として、インディアンジュエリーの制作、接客対応、精神力、人としての全てと言っても過言ではないほど勉強させて頂きました。
『人の想像を超えろ!!』という教えを頂き日々精進し、更にインディアンジュエリーの奥深さと神秘性に引き込まれる。
2006年に独立し、デザインやレギュラーラインの制作を自身の部屋で行う。ベッド以外は全て彫金道具、洋服も何もかも、銀のカスやバフカスで酷いことになっていました。この期間は煙草も買えず携帯もとめられ、趣味のバイクもやめて、とても貧乏な経験をしましたが、やりたいことをやるには、対価を払わなければ前には進めません。苦とは思わず楽しく前に進みました。
そして一年間、ブランドネームを悩み抜き、2007年に自らのブランド『Crazy Cloud - クレイジークラウド』を立ち上げ、仲間の力を借り工房を東京新宿に設立。Crazy Cloudというブランドネームは、敬愛するラコタのオグララ スー族『Crazy Horse』と『Red cloud』から組み合わせ。Crazy Cloudというブランド名が生まれました。
ネイティブアメリカン先住民には、有名なジェロニモやシッティングブルやブラックエルクなど様々な人物・部族がいました。中でもスー族の『Crazy Horse』と『Red cloud』は激動の時代に生きた実在した人物で資料も少なく諸説ありますが、全く思想の違う二人で、両者の考え方・行動にとても胸を打たれ、関心を抱けたのが大きくブランド名として使わせて頂きました。
『cloud - 雲』 自然のモノに畏敬の念を表した、インディアンジュエリー。自然のモノから授かるモチーフやデザインが多くcloudと言う言葉はとても相性がよいのです。空に浮かび風によって自由に形を変える雲cloudは、これからのCrazy Cloudとして、彫金を駆使し、金銀プラチナを加工し様々な形に変えて皆様のもとへ届けたいとの思いを込めた意味もあります。
ネイティブアメリカンが馬に乗り荒野をかけるなら、現代人の私としてはバイクに乗り、街を颯爽と駆け抜けると勝手にリンクさせ、趣味でカワサキのZ1に乗っています。バイクで訪れた先々で見る景色やインスピレーションはデザインに生かされています。